2022年のまとめ。
商業活動
単行本
2月、共著書『ハヤカワ文庫JA総解説1500』が早川書房より刊行されました。ハヤカワ文庫JAを総覧する貴重な一冊ですので、ぜひ手元に置いて読書の指針としていただければと思います。
担当作品
- 星新一『妖精配給会社』
- 小松左京『ある生き物の記録』
- 筒井康隆『馬は土曜に蒼ざめる』
- 石原藤夫『画像文明』
- 小川一水『老ヴォールの惑星』
- 円城塔『Self-Reference ENGINE』
- 円城塔『後藤さんのこと』
- 日下三蔵編『日本SF傑作選』
- 草野原々『大進化どうぶつデスゲーム』『大絶滅恐竜タイムウォーズ』
- 伴名練編『日本SFの臨界点』
書評
アジアSFブックガイド
《SFマガジン》2022年6月号(アジア特集)にて、特集内ブックガイドに書評を寄稿しました。
劉慈欣『三体』をはじめ、中国SFの紹介が非常に盛んな中、本特集は中国を含むアジアのSFの特集となっています。中国だけに留まらない、豊かな広がりを楽しむ指針にしていただければと思います。
私が書評を担当したキム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』(早川書房)は、グレッグ・イーガンの初期作品が好きな方に特におすすめです。自身を含めた生命というものが所詮化学反応に過ぎないとは理解しているが、イーガンほどさっぱりは割り切れておらず、理解と心情の間で悩む人々が多く登場します。これまで翻訳紹介されてきた韓国SFはファンタジー寄りの作品が多かったのですが*1、本作には結構ハードSF色が強い作品も収録されているので、ハードSF好きの方にも是非一度読んでいただきたいと思います。(表紙の雰囲気などのせいか、あまりハードSF読者に届いていないような気がしているので)
担当作品
- キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』
- 大恵和実編『移動迷宮:中国史SF短篇集』
- 立原透耶『時のきざはし:現代中華SF傑作選』
ヴォネガット全邦訳解題
《SFマガジン》2022年12月号(ヴォネガット生誕100周年記念特集)にて、特集内ヴォネガット全邦訳解題に寄稿しました。
題の通り、邦訳されたヴォネガット作品全ての解題となっていますので、ヴォネガットを読みはじめるにはうってつけです。少なくとも、私の担当した分は作品の読み味を失わないよう、ネタバレを避けて書きましたので、安心してお使いください。特に、非常に読みにくいと言われる『タイタンの妖女』についても、ネタバレを避けつつ読み方のヒントをいくつか挙げましたので、難航している方は是非ご一読ください。
担当作品
エッセイ
「未来のSFを担う人に:SFへの参加のすすめ」
《SFマガジン》2022年2月号(未来の文芸特集)にて、特集内エッセイを寄稿しました。SFファンダムの歴史と、コロナ禍前後でのファンダムの変化、学生・若手ファンダムの最近の活動や将来像などを、当事者としての目線から書きました。
実は2021年刊行なので厳密には去年の仕事なのですが、まあほぼほぼ2022年なので。
「近くて遠い人」
星新一公式サイト内「寄せ書き」に、エッセイ「近くて遠い人」を寄稿しました。私のSFの原点である、星新一とその作品についての、個人的な話です。
同人活動
なんもしてないです。強いて言えば、京フェスで研究発表第二弾をやったのと、数学の勉強が進んだくらい。
来年からはようやく落ち着いて時間が取れそうなので、色々と動いていきたい所存。翻訳もそうだし、塩漬けの研究も山ほど溜まっているし、創作にも手を出していけたらと。
*1:チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』、チョン・セラン『保健室のアン・ウニョン先生』など。