SF游歩道

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量子力学の原理と不確定性関係について、ついでに量子力学風SFも少々

今回は珍しく物理学の話題。まず量子力学の基本原理を提示した上で、それらの原理から不確定性関係(いわゆる不確定性原理)を導出し、不確定性関係が量子力学の根幹を成す原理ではないことを示す*1。あとついでに量子力学っぽいSFのどこが物理学的に間違っているかを指摘する。

あらかじめ、この記事は様々な厳密性を大変に欠いていることを明示しておく。以下、私のノートを元に記述する。

量子力学の基本原理

波動関数とSchrödinger方程式

質量 mの粒子を考える。この粒子の状態は波動関数 \psi (\boldsymbol{r}, t)で記述され、複素数である。

いま、粒子がポテンシャル \hat{V}(\boldsymbol{r})中にあるとすると、この粒子の時間発展は以下のSchödinger方程式*2で表される。

 \begin{align} i \hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (\boldsymbol{r}, t) = \hat{H} \psi(\boldsymbol{r}, t) \end{align}

ただし、 \hat{H}ハミルトニアンで、このとき \hat{H} = - \frac{\hbar ^2}{2m} \Delta + \hat{V}(\boldsymbol{r}, t)

ここで、 \psi (\boldsymbol{r}, t) = \psi (\boldsymbol{r}) e^{-i \omega t}, E = \hbar \omegaとすると、

 \begin{align} (左辺) &= i \hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi(\boldsymbol{r}) e^{-i \omega t} \\ &= i \hbar \psi(\boldsymbol{r}) (-i \omega) e^{-i \omega t} \\ &= E \psi(\boldsymbol{r})e^{- i \omega t} = \hat{H} \psi(\boldsymbol{r})e^{- i \omega t} \\ \therefore \hat{H} \psi(\boldsymbol{r}) = E \psi(\boldsymbol{r}) \end{align}

これが(時間依存しない)Schrödinger方程式であり、粒子の定常状態を求めるために用いる*3

この解 \psi(\boldsymbol{r}) \hat{H}を左から作用させたとき、定数倍になるだけで変化しない。この \psi(\boldsymbol{r}) \hat{H}の固有関数といい、 E \hat{H}固有値という。すなわち、Schrödinger方程式を解くことは、 \hat{H}固有値問題を解くことに帰結される。*4

演算子のエルミート性、ブラケット記法の導入

古典的な物理量 Aは、量子力学においてはエルミート演算子 \hat{A}で与えられる。なお、 \hat{A}は次式

 \hat{A}^\dagger = \hat{A}

で定義される。

また、 \hat{A}のn番目の固有状態を | a_n \rangle 固有値 a_nとすると、

 \hat{A} | a_n \rangle = a_n |a_n \rangle

 \hat{A}の固有状態は正規直行系を成す。

 \langle a_m | a_n \rangle = \delta_{m, n}*5

エルミート演算子 \hat{A}の固有状態はすべて集めると完全系を成し、任意の関数がこれら固有状態の線形結合によって表現出来る。これによって波動関数をブラケット記法に従って定数 c_nを用いて次のように展開出来る。

 \begin{align} \psi(\boldsymbol{r}) = \sum_{n = 1}^{\infty} c_n | a_n \rangle \equiv | \psi \rangle \end{align}

波動関数の確率解釈

微小区間 \boldsymbol{r}~ \boldsymbol{r} +d \boldsymbol{r}に粒子を見出す確率は、 {| \psi (\boldsymbol{r}, t)|}^2 d \boldsymbol{r}で与えられる。すなわち、 {| \psi (\boldsymbol{r}, t)|}^2は確率密度を表す。ただし、波動関数 \psi(\boldsymbol{r}, t) {\int | \psi (\boldsymbol{r}, t)|}^2 d \boldsymbol{r} = 1で規格化可能。[1]

つまり、何を言っているかというと、位置 \boldsymbol{r}の近くで粒子を観測するかどうかは断定出来ず、量子力学では観測出来る確率が {| \psi (\boldsymbol{r}, t)|}^2 d \boldsymbol{r}であるとしかわからないということ。これが“確率的に存在する”ということである。

ここで注意したいのが、ひとつの粒子が雲のように散らばって存在していて、その密度を表すのが確率密度 {| \psi (\boldsymbol{r}, t)|}^2 d \boldsymbol{r}ということではないということ。これはSchrödingerによる波動関数を実在波とする解釈であるが、これは実験事実に明確に反する。正しいのは、先に挙げたBornの確率解釈である。量子力学では、あくまで粒子を粒子であると考え、波動関数を粒子の統計的振る舞いを記述するものと考える。すなわち、一回一回の観測はそれぞれ独立であり、一連の統計的観測によってはじめて粒子全体が波動関数に従っていたことを知る。[3]

また、 {| \psi (\boldsymbol{r}, t)|}^2 d \boldsymbol{r}という確率で粒子を観測出来た場合、その瞬間に粒子はそれ以前の情報をすべて失い、粒子はもとからそこに居たかのようにふるまう。このとき波動関数 \psi(\boldsymbol{r}, t)は瞬間的に \delta (\boldsymbol{r} - \boldsymbol{r_0})*6に変化する。これを波動関数の収縮という*7。観測された粒子は、この \delta (\boldsymbol{r} - \boldsymbol{r_0})を初期条件としてふたたび時間発展する。

【余談】SF作品におけるコペンハーゲン解釈

SF作品でこの波動関数の収縮が登場する例として、グレッグ・イーガン「ボーダー・ガード」が挙げられる。この作品では、波動関数の収縮で大嘘をついて量子力学を“量子サッカー”なる珍妙で面白いSFガジェットに見事に取り込んでいる。具体的にどこの記述が物理学的に間違っているかというと、文庫版260頁11~12行目の「ボールがフィールド全体に薄く広がっている〜」という記述が間違い。これは先述のSchrödingerによる解釈であり、Bornの確率解釈によって否定されている。

イーガンが巧妙なのは、この記述の前後(260~261頁)にある“量子サッカー”の描写のうちに、ある程度までの量子力学的正確性や、正しい用法で使われている量子力学の用語が多数含まれていること。これによって、量子力学を知った上で読めばなんということのない大嘘が、物語の中では真実味をもっているように感じられるのである。この“量子サッカー”を物理の言葉で記述するなら、二次元無限井戸型ポテンシャル V(x, y) = 0 (0 < x < r, 0 < y < l), \infty (x \leq 0, r \leq x, y \leq 0, l \leq y)波動関数が任意の座標で鋭い波束をもつように追加でポテンシャルを与えてやる、というものに相当する*8

とはいえ、この作品における“量子サッカー”並びに量子力学風の描写は、「こんな競技が人気なくらいの遠未来を舞台としている」という物語の舞台説明として、また作品の真の主題である“別離”を読み取らせるために「この作品は難しい」と読者に感じとらせて注意深く読ませる、いわば“物語を通じての難易度調整”としての機能しか持たない*9

と、「ボーダー・ガード」の量子力学は大嘘だし、この作品の本筋は“量子サッカー”などという珍妙な競技を理解することではないので、この量子力学風記述に気圧されてこの作品が、ひいてはイーガン作品が読めなくなってしまっている人を見聞きすると大変残念に思う*10

物理量の測定

ここで、物理量の測定を厳密に定義する。

物理量 \hat{A}を測定すると、あるひとつの固有値 a_nが測定結果として得られる。このときの確率は {|c_n|}^2である。

状態 | \psi \rangleにおける \hat{A}の期待値を次式で定義する。

 \langle \hat{A} \rangle = \langle\psi| \hat{A} | \psi \rangle

これを展開して計算すると、

 \begin{align} \langle \hat{A} \rangle &= \sum_{m, n} c_m^{\ast} c_n \langle a_m | \hat{A} | a_n \rangle \\ &= \sum_{m, n} c_m^{\ast} c_n a_n \delta_{m, n} = \sum_n a_n {|c_n|}^2 \end{align}

交換関係

2つの異なる演算子 \hat{A}, \hat{B}波動関数 | \psi \rangleに左から連続して作用させるとき、一般には作用させる順番によって演算の結果が異なる。ここで、交換関係 [ \hat{A}, \hat{B} ] を次のように定義する。

 [ \hat{A}, \hat{B} ] = \hat{A} \hat{B} - \hat{B} \hat{A}

のちの議論のため位置演算子と運動量演算子で具体的に計算すると、

 \begin{align} [ \hat{x}, \hat{p_x} ] | \psi \rangle &= (\hat{x} \hat{p_x} - \hat{p_x} \hat{x})| \psi \rangle \\ &= \{ (\hat{x} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial {\hat{x}}}) - (\frac{\hbar}{i} + \hat{x} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial {\hat{x}}}) \} | \psi \rangle \\ &= i \hbar | \psi  \rangle \end{align}

以下同様にして、 [ \hat{x_i}, \hat{p_j} ] = i \hbar \delta_{i, j} が示される。

不確定性関係の導出

さて、本題の不確定性関係の導出に入る。

いま、ある物理量 Aに対して、期待値からのずれ

 \begin{align} \varDelta \hat{A} \equiv \hat{A} - \langle {\hat{A}}^2 \rangle \end{align}

を定義する。この二乗は以下のように整理される。

 \begin{align} {( \varDelta \hat{A} )}^2 &= \langle (\hat{A} - \langle \hat{A} \rangle )^2 \rangle \\ &= \langle ( \hat{A}^2 - 2A \langle \hat{A} \rangle + {\langle \hat{A} \rangle}^2) \rangle \\ &= \langle \hat{A}^2 \rangle - 2 {\langle \hat{A} \rangle}^2 + {\langle \hat{A} \rangle}^2 \\ &= \langle \hat{A}^2 \rangle - {\langle \hat{A} \rangle}^2 \end{align}

ここで、交換関係 [ \hat{A} , \hat{B} ] = i \hat{C} のもとで、物理量 ( \lambda \varDelta \hat{A} - i \varDelta \hat{B} )( \lambda \varDelta \hat{A} + i \varDelta \hat{B} )の期待値を求めることを考える。

すなわち、求める期待値は

 \begin{align} \langle \psi | ( \lambda \varDelta \hat{A} - i \varDelta \hat{B} )( \lambda \varDelta \hat{A} + i \varDelta \hat{B} ) | \psi \rangle \end{align}

と記述されるが、これが ( \lambda \varDelta \hat{A} + i \varDelta \hat{B} ) | \psi \rangle なる波動関数の二乗の全空間積分に相当し、絶対値の二乗の形であることから、以下の式が明らかに成り立つ。

 \begin{align} \langle \psi | ( \lambda \varDelta \hat{A} - i \varDelta \hat{B} )( \lambda \varDelta \hat{A} + i \varDelta \hat{B} ) | \psi \rangle &= \int {| ( \lambda \varDelta \hat{A} + i \varDelta \hat{B} ) | \psi \rangle |}^2 d\boldsymbol{r} \geq 0 \end{align}

先の式にもどって、

 \begin{align} &= \langle \psi | ( {\lambda}^2 \varDelta {\hat{A}}^2 + i (\varDelta \hat{A} \varDelta \hat{B} - \varDelta \hat{B} \varDelta \hat{A}) + \varDelta {\hat{B}}^2 ) | \psi \rangle \\ &= {\lambda}^2 \langle \varDelta {\hat{A}}^2 \rangle - \lambda \langle \hat{C} \rangle + \langle \varDelta {\hat{B}}^2 \rangle  \end{align}

これが0以上であるための条件は、 \lambdaについての二次方程式の判別式から、

 \begin{align} {\langle \hat{C} \rangle}^2 - 4 \langle \varDelta {\hat{A}}^2 \rangle \langle \varDelta {\hat{B}}^2 \rangle & \leq 0 \\ 4 \langle \varDelta {\hat{A}}^2 \rangle \langle \varDelta {\hat{B}}^2 \rangle & \geq {\langle \hat{C} \rangle}^2 \\ {(\varDelta \hat{A} \varDelta \hat{B} )}^2 & \geq \frac{1}{4} {\langle \hat{C} \rangle}^2 \\ \therefore \varDelta \hat{A} \varDelta \hat{B} & \geq \frac{1}{2} \langle \hat{C} \rangle \end{align}

したがって、 \hat{C}が0ではない、すなわち\hat{A} \hat{B}が非可換である場合、 \varDelta \hat{A} \varDelta \hat{B}はある値より常に大きくなる。これを不確定性関係といい、先述の通り非可換である2つの物理量の間に必ず成り立つ関係である。

特に、位置演算子と運動量演算子の間の不確定性関係 \varDelta \hat{x} \varDelta \hat{p} \geq \frac{\hbar}{2}をHeisenbergの不確定性関係という。

さて、このHeisenbergの不確定性関係は、巷では不確定性原理と呼称され、いかにも量子力学の根幹をなす原理として言及されることが多いが、これは誤りであると私は考える。

最初に示した量子力学の基本原理にこの不確定性関係は一切現れておらず、いま実際に示した通り、量子力学の基本原理から導出することが出来た。不確定性関係が真に量子力学の根幹をなす原理であるならば、他の原理とはまったく独立に物理学的考察を通じて得られるものであるべきである。

たとえば、特殊相対論における特殊相対性原理と光速度不変の原理は互いに独立に与えられた概念であり、互いに説明し合うことは不可能である。また、一般相対論における等価原理統計力学における等重率の原理などが、これらの原理なしにはそれぞれの分野の扱う自然現象が説明出来なくなるような最重要の仮説的概念であることと比較すると、不確定性関係ははなはだ重要性に劣る。(だからこそ、量子力学の標準的なテキストにはすべて不確定性原理ではなく“不確定性関係”と書かれているのだと思う。)

結語

さて、不確定性関係について整理し、これが量子力学の根幹を成す原理ではないことを示した。

この記事では、ブラベクトル・ケットベクトルの張るブラ空間・ケット空間、およびHilbert空間に関する議論、演算子のエルミート性などに一切触れておらず、物理学的には不足が大きい。それでも、不確定性関係が量子力学の根幹を成す概念ではなく、他の原理から導出可能な二次的な関係である*11ということは十分に認識出来る。

まず個人的な印象を言えば、不確定性関係はエルミート演算子の間に成り立つ数学的な関係であり、確かに量子力学の不可解さを提供してくれるものの、別に原理というほどファンダメンタルなものではないし、こんなものがラディカルな世界観の変換を提供すると吹聴するのならば、それは物理の本筋が理解出来ていないというなによりの証拠だと思っている。実験屋として私が量子力学による世界観の転換を得たのは、これまで示してきたような量子力学の初歩の初歩から学び進めて、量子電磁気学QED)でLambシフトの計算をして、驚異的な精度で実験値と理論値が一致した事実*12を自らの手で確認したときだった。量子力学を用いてここまで美しく自然を説明出来るのならば、量子力学は正しいと信ずるに値する、と実験値との比較を通じて至った。ここではじめて、遡って確率解釈や波動関数の実在を納得し、古典力学的直感の方がおかしいのだと理解した。

収穫

恥ずかしながら、時間とエネルギーの不確定性関係について思いっきり誤解していたことがわかった。いろいろ読んで調べて手を動かしているうちに、もっともらしい記述を見つけたのでこれから勉強するつもり。研究室でごく自然と「短時間ならエネルギーは保存しない」みたいなことを聞いてその場では納得しており、深く調べて考えなかったのが今回の誤解を修正出来ていなかった原因。量子情報論もしっかり勉強しないと、素粒子論の理解が危うくなりそうだ。

余談

この記事の中において、私は多世界解釈について一切言及していない。なぜなら、コペンハーゲン解釈を用いるだけですべて事足りるからである。多世界解釈には科学的反証性を有していないという科学理論として致命的な欠陥が存在しており、そんな欠陥理論を用いるまでもなく、現代物理学は確率解釈を用いて自然現象に対して十分正しい説明を与えている。

いまだに“不確定性原理”と“多世界解釈”に頼って物理学を論じようとしている者には己の不勉強を猛省していただきたい。学部程度のテキストできちんと手を動かしつつ学べば、この記事に書いたことなど半日程度の仕事であることも理解出来ることだろう。

最後にSFファンあるいは一般の量子力学に興味がある人に向けて忠告をするなら、2020年にもなって多世界解釈不確定性原理を殊更重要なことのように書き立てている本を読むのは即刻やめた方がいいということ。残念ながら、一般向けの解説書や、科学啓蒙書の類で信用するに足る記述のものはほとんど存在しない。量子力学を勉強したいならば、大人しく標準的なテキストで手を動かして学ぶのが最善であると思う。

*1:[6]p.36より引用“量子力学の「不確定性原理」は、量子力学の公理から演繹されているので、原理というよりは定理であり、名実ともに「不確定性関係」と言うべきだろう。”

*2:このとき、左辺は時間の1階微分、右辺は空間の2階微分(Laplacian)であり、私は気持ち悪く感じる。

*3:たとえば、ポテンシャルとして \hat{V} = - \frac{e^2}{r}を考えて、三次元曲座標形式のLaplacianを用いれば、水素原子中の電子の定常状態を表す波動方程式が解として得られる。ただし、計算の途中でLegendre多項式が出てきて、素朴に解くことは大変に困難。一方で、困難とはいえ、水素原子の構造について、Schrödinger方程式を用いた量子力学古典力学よりも精度よく説明出来る。

*4:固有関数がケットベクトルで表されることと演算子のエルミート性からこれらが得られる。

*5: \delta_{m, n}はKroneckerのデルタ。 m = n で1、 m \neq nで0。

*6:Diracデルタ関数 \delta(x)として、 x = 0のとき無限大、 x ≠ 0 のとき0となる超関数。

*7:これがかの有名なコペンハーゲン解釈と言われるもの。今日まで、コペンハーゲン解釈に反する実験事実はなにひとつ存在せず、コペンハーゲン解釈が正しい物理学を与えていると考えてなにひとつ差し支えはない。ちなみに、Schrödingerの解釈で波動関数の収縮を考えると、無限遠方に雲として存在していたはずの粒子の微細部分が瞬間的に移動してくることになり、光速度を破るため不適。

*8:ちなみに、無限ポテンシャル障壁に波動関数が接すると、その座標における波束は0になる(固定端)。したがって、波動関数は調和振動しか許されず、可能な状態は高々(自然数全体)×(自然数全体)程度でしかない。

*9:これはイーガン作品に顕著な特徴で、高度なSF的アイデア・科学的アイデアを作品に衒学的に導入し、本当の主題への踏み台にしている節がしばしば見受けられる。例:『万物理論』第一部、『ディアスポラ』の「孤児発生」

*10:そもそも、イーガンは大変に内省的な作風の作家で、多くの場合で物理学は思わせぶりなブラフ。数学や認知科学神経科学の方が重要。なお、例外的に物理学がわかってないと理解の糸口さえ存在しないのが『万物理論』。

*11:例えば、水素原子の内部構造は、一般の不確定性関係を使わずとも、Schrödinger方程式だけで十分精度よく説明出来る。

*12:非相対論的な半定量的近似で“実験値”1057.8±0.1MHzに対して“理論値”1057.7±0.2MHz [5] p.88