SF游歩道

語ろう、感電するほどのSFを!

VRのSF性に関するメモ

VR技術をSFファンとして体験し、そのSF性について重要な発見をいくつかしているので、その感動を忘れないうちに記録しておくことにした。

あくまでメモ程度であるので整理はされていない。とにかくこの発見を記録しておくことが最優先事項であると判断した。

 

私が経験したVR体験は以下の通り。

 

 

 

以下が私のメモ。

  • ティプトリー接続された女」で示された"女の演じる女と普通の男との恋愛"という想像力は、"男の演じる女と男の演じる女との百合を男の演じる女たちが見守る"という地獄のような現実に上塗りされた。
  • "アイデンティティの喪失"という、SFにおける古典的な恐怖が、VR空間ではいとも簡単に、楽しむべき行為として行われている。これは「変容」のSFとしてのサイバーパンクにほかならない。
  • VRでは何者にもなれるのに、なぜあなたはあなたのままでいるの?
  • 同じ女になるにしても、ハイヒールや化粧、カツラなど"要素の追加"によって女になる現実とは異なり、VRでは低身長化、手を小さくするなど現実では出来ない"要素の削減"という方法が採れる。シークレットブーツで身長を足したり、手袋をはめることで"大きくする"ことは現実で出来る。しかし、背を低くしたり、男の大きく太い手を、女の小さく細い手にすることはVRでしか出来ない。この"削減"こそVRの本質である。
  • 従来のサイバーパンクは「変容」の手段として、"拡張"や"世界の上書き"ということをしていた。VRは体験者自身に作用することで「ものの見方」を物理的に変えてしまう。SF小説やSF映画がわざわざ"世界"を描写して現実味を持たせなくても、VRならVRただそれだけで、おのずから「ものの見方」が変わる。これはセンス・オブ・ワンダーそのものである。
  • 東北大SF研バーチャル会員、卜部理玲ちゃんの電脳ボディは、Vtuber計画に携わる会員の間で便宜上「義体」と呼ばれている。完全に「攻殻機動隊」の世界である。
  • VRゲームなんかしなくてもよい。「義体」に入ることこそが、VRの本質的なSF性を知ることである。VRゲームは所詮現実の上塗りに過ぎない。文字で書いてもこれは絶対に伝わらない。「ただそこにいることがSFである」という直接的な体験でなければ、これは分からない部類のものである。
  • Google Earth VRがすごい。仲間内で楽しむ間に、VRストリートビューを用いた「VR帰省」なる遊び方が開発された。ただしゲロゲロに酔う。一気に「うぷっ」となるので、VRにある程度慣れてから行うべき。体感20分が限界(25分くらいで一気に来る)。
  • HTC VIVEは非常にトラッキング精度が高いため、視点移動や通常の移動では全く酔わないが、Google Earth VRで空中にいるときに後ろ向きに飛行すると一気に来る。肉体の限界がVRの限界である。
  • 上記のVR酔いの対処法として、酔い止めを飲むのが現状の最適解ではないかと考えられる。この「薬物(酔い止め)で身体強化し、ネットにダイヴする」という行為の圧倒的なサイバーパンク感。
  • HTC VIVEを使用しているときの、その使用者の見た目が完全に「接続された女」。混線等を防ぐには、原理的に有線式が勝る。サイバーパンクは正しかったということである(サイバーパンク的な見た目を意識しているという可能性を排除しきれないが)。
  • より本格的に全身で動くVtuberのオペレーター(中の人、演者)はVRデバイスに繋がる線を天井から垂らし、体に絡まらないようにしているらしい(完全に「接続された女」)。
  • ネットにダイヴする人(HTC VIVEオペレーター)、そしてそれを補佐するバックアップ(デスクトップPCオペレーター)という構図が完全にSF。
  • 総合して考えるに、完全に「攻殻機動隊」というか、士郎正宗のヴィジョンがすごかったという結論に至る。
  • VRChatはその技術的障壁、金銭的障壁によって非常にアングラな世界。著作権的にグレーどころか真っ黒なアバターや、R18的なアバターが闊歩する世界となっている。
  • その参入障壁の高さから、VRChatは海外のSF通やガジェオタ・技術者ばかりが集まる非常に面白い空間である。その一方、ワールド全体に飛び交うショッキングピンクの花火など、合法か疑わしいエフェクトやアイテムを持ち込む者もあり、セキュリティ面に不安が残る。