世界最大の古本屋街、神田神保町。本好きにとっての憧れではあるものの、すこし寄り付き難い街。
SFに興味はあるけど神保町の古書店に行くには抵抗感がある、そんなひとでも安心して古書店巡りを楽しめるように、神保町でSFを取り扱う主な古書店を紹介する。(若干自分自身の備忘録代わりという面もある)
@ワンダー
神田神保町2-5-4 開拓者ビル1・2階
定休:年末年始
神保町でSF・ミステリを扱う書店としてまず挙がるのがこの@ワンダー。神保町駅A1出口から右手に徒歩30秒という立地のため、神保町初心者でもアクセスしやすく、迷いにくい。
サンリオSF文庫、ソノラマ文庫などの絶版文庫をはじめとして、SFマガジンや銀背(ハヤカワ・SF・シリーズ)、ハヤカワ文庫SF、創元SF文庫などのSF関連本がずらり。もちろん単行本や河出文庫、ちくま文庫など、メジャーなSF系文庫レーベル以外の本が集まっており、店を訪れているだけで幸せになれる。個人的には、サンリオSF文庫全巻セット(198種全202冊、40万円)と筒井康隆全集(全24巻、1万5千円)がレジの前に積まれていたのが印象的。筒井全集は既に2セット持っているが。
また、建物の中だけでなく、外にも特価棚があるので注意。相当数の本が雑多に並べられているが、丁寧に探すと掘り出し物が見つかるかもしれない。(実際サンリオSF文庫のル=グィン『マラフレナ』上巻を200円で手に入れたことがある)
2階にはブックカフェ20世紀があり、食事や休憩などに利用出来る。私は基本的に11時過ぎに神保町にやってきて、@ワンダーでゆっくり古書を買った後このカフェで昼食と休憩をとり、午後に三省堂方面へと繰り出すことが多い。
SF・ミステリだけでなく、映画関連書籍やアメコミ、文学書など幅広く取り扱っているので、思わぬ探し物が見つかるかも。
古書いろどり
神田神保町3-2-9 塚本ビル3階
不定休
本好きにとっての天国のような古書店。天井まで本が積み上げられ、人の通る場所は辛うじて1人が通れるだけの幅。店内の空間に充填された本の中に、貴重な本が眠っている。(あまりに詰め込まれすぎて、せっかくの棚が全く見えない箇所もあるのだが……)
眺めているだけでわくわくしてくるし、文字通り本に囲まれて目当ての本を探すときの喜びはなににも代えがたい。SFだけでなく、とりあえず本好きならば行って損はない。
ただし、注意点がいくつか。
まず、不定休なので訪ねる際はあらかじめツイッターなどで開店しているかどうか確認すること。つぎに、大荷物を持っていかないこと。確実に身動きが取れなくなる。そして、入り口で靴を脱ぎ、スリッパに代えること。最後に立地。神保町の表通りである靖国通りから北に入ったところにあり、入り口も奥まっているので訪ねる際は注意が必要。専修大学の目の前にある。
羊頭書房
神田神保町1-25
定休:火曜
神保町でSF・ミステリを探すなら、羊頭書房も欠かせない。これ以降に紹介する4軒は互いに近くに立地するので、まとめて訪ねるのが効率的。
すこし狭めの店内にぎっしりと積み上げられた本の中から目当ての本を探し出すのがたまらない。他人の本棚を眺めているような楽しみがある。一部で「魔の二重収納」となってしまっている本棚の奥をじっくりと調べ、文字通り掘り出し物を探し当てるのが神保町での自分の大きな楽しみのひとつ。
体感的にも掘り出し物を見つけることが多く、神保町に来たときはなにがなんでも必ずここだけは来るようにしている。
三省堂書店古書館
定休:年末年始
新刊書店三省堂の本館4階で常設開催されている古書市。すでに紹介した羊頭書房をはじめ、全国の古書店が出店している。
出店しているSF系古書店で注目すべきは大阪のジグソーハウスとオンライン古書店のあやかしや。どちらも長期休暇ごとに行くたびに、大きく品ぞろえが変わっていて面白い。
定期的に1階エントランスで古書市も行っているので、古書店の雰囲気に慣れない人でも気軽に楽しむことが出来る。
古書かんたんむ・神保町古書モール
定休:年末年始
三省堂の靖国通り側ではない方、裏側向かって左隣の建物の5階で営業している。古書かんたんむには他の古書店が出品する古書モールがあり、様々なところから送られてきた本が並んでいる。
小説の文庫本から専門書まで、棚ごとに大きく傾向が変わるので本を探していても飽きることがない。一度に全部の棚を調べ上げるのはなかなか現実的ではないので、棚が入れ替わるのを待ちながら何度も足繁く通うのが吉。
江戸川乱歩が主宰していた雑誌「宝石」など古い雑誌もあり、星新一と筒井康隆のデビュー作が掲載された号を探し続けて何度も訪ねている。
澤口書店巌松堂ビル店
神田神保町1-7 巌松堂ビル1・2階
年中無休
古本/古書/本の買取 東京神田神保町 巌松堂ビル店 澤口書店-一括買取/大量買取
入り口を入ってすぐ、右手側の棚に岩波文庫・ちくま文庫・平凡社ライブラリー・講談社学術文庫など、かための文庫棚がある。文学系の文庫(新潮文庫・角川文庫・中公文庫・文春文庫)などは店内奥。
ハヤカワ文庫・創元文庫・サンリオ文庫他、SF・ミステリっぽいものはほぼ全て二階にあるので注意。
私が確認したところでは、サンリオ文庫が50冊以上、ハヤカワ文庫SFが70冊前後、創元SF文庫が100冊ないくらいでSFに特化しているというわけでもないが、訪ねる価値はあると思う。(ミステリ系の文庫も相当数あったが、知識がないのでどれだけ価値のある棚かは分からなかった)
特筆すべきはHPB(ハヤカワ・ペーパー・バック)の多さだろうか。ざっと200冊はあったように思う。なお、銀背(ハヤカワ・SF・シリーズ)の数は少なかった。