SF游歩道

語ろう、感電するほどのSFを!

研究

夏目漱石『こころ』の文字頻度解析

前回の円城塔『通信記録保管所』および『花とスキャナー』の文字頻度解析から引き続き、夏目漱石による小説『こころ』の本文テキストに含まれる各文字の出現頻度を調べた。 定本として国立国会図書館でデジタル化された『こころ』(岩波書店、1916)を用いた…

円城塔『通信記録保管所』および『花とスキャナー』の文字頻度解析

円城塔による短篇小説集『通信記録保管所』および『花とスキャナー』の本文テキストに含まれる各文字の出現頻度を調べた。 結果は下図の通り。なお、縦軸が各文字の出現数、横軸が各文字の出現数の順位を表している。 図1 円城塔『通信記録保管所』の文字の…

告知:京都SFフェスティバル2022合宿企画「円城塔を語る部屋ふたたび」

題の通り、2022年10月15、16日に開催される京都SFフェスティバル2022において、合宿企画「円城塔を語る部屋ふたたび」を主催します。

円城塔「for Smullyan」について

円城塔「for Smullyan」について、作中で扱う命題について再検討したのち、議論の不足を指摘する。

円城塔「十二面体関係」について

円城塔「十二面体関係」について、物語の幾何学的構造と代数的構造について数学的に検討したのち、物理的考察を加えて作品宇宙における時間の生成機構を見る。

円城塔試論Ⅱ「『文字渦』完結以後の作品の位置付け」

『文字渦』(2018/07/31刊行)完結以後の円城塔作品について、その位置付けについて検討を行う。随時追記予定。

円城塔「内在天文学」について

円城塔「内在天文学」について、具体的な計算を交えつつ、生物物理学・数理物理学・素粒子物理学にも触れながら詳細に見る。

円城塔「ムーンシャイン」について

伴名練編『日本SFの臨界点〔恋愛篇〕』で円城塔「ムーンシャイン」を久しぶりに読んで、最初に読んだときには気づけなかったことに気づけたので、ここに書いていこうと思う。

劉慈欣「円」について

劉慈欣『三体』の第17章を抜粋・改稿した短篇「円」について、その普遍性と中国性、特に儒教の影響について軽く書いていこうと思う。

中国SF研究Ⅱ「『東北大SF研、中国SFを大いに語る』配布資料追記版」

京都SFフェスティバル2019合宿企画『東北大SF研、中国SFを大いに語る』配布資料の追記版。

伴名練「延命小説」の解説その他の文章

この文章は『文學界』2020年12月号掲載の伴名練のエッセイ「延命小説」の解説と、私の個人的な感想の入り混じった文章になる。 まず解説から行っていく。 結論として、私はこの作品を伴名練の最高傑作であると考えている。なぜなら、この作品が完璧なSFで…

テッド・チャン「大いなる沈黙」に関する同人訳者覚書

昨年の10月、東北大SF研の部会において、私はテッド・チャンの「The Great Silence」という短篇を翻訳して紹介した。以下の文章は、その際の訳者解説である。

円城塔試論Ⅰ「円城塔の自己言及性とSF性」

私は円城塔のファンであり、ここしばらく円城塔とSFと物理と文学のことしか考えていない程度にはファンである。そうして部室などで円城塔の面白さを他人に語りまくることを通じて、円城塔の作品を読むことにおける重要な要素をようやく整理することが出来た…

文字についての謎を文字で明かす、円城塔の最高傑作――「文字渦」(円城塔、新潮社)

書籍情報 作者:円城塔 出版社:新潮社 形態:単行本 文字渦 作者: 円城塔 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/07/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 収録作品 「文字渦」 「緑字」 「闘字」 「梅枝」 「新字」 「微字」 「種字」 「誤字」…

星新一研究Ⅰ「『殉教』の初出版と文庫版との比較」

導入 方法 結果 考察 今後の展望 結論 個人的な作品論Ⅰ 個人的な作品論Ⅱ 導入 星新一は、日本人ならば読んだことがない人のいないほど広く親しまれ、愛されてきた作家だと言える。 このように星新一の作品が時代を超えて愛され続ける理由として、星作品に特…

中国SF研究Ⅰ「『科幻世界』巻末の翻訳SFに関する調査」

中国の有名SF月刊誌「科幻世界」の巻末には、同社の販売するSF単行本の通販カタログが2頁分掲載されている。 国内(中国)SFを先頭に、日本、アメリカ、カナダなどの国外翻訳SFが一覧形式で掲載されているため、この頁に登場する作家・作品を確認すれば中国…

現代のラノベの原点はすべてここにあった!?━━『時をかける少女』(筒井康隆、角川文庫)

書籍情報 作者:筒井康隆 出版社:KADOKAWA(角川文庫) 形態:短篇小説集 時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫) 作者: 筒井康隆 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2006/05/25 メディア: 文庫本 購入: 12人 クリック: 88回 この商品を含むブログ (325件) …

映画『君の名は。』の過小評価について

2016年夏に公開され、まさに社会現象とも言える一大ムーヴメントを巻き起こし、日本国内で250億円以上、国外で3.5億ドル以上の興行収入を得た映画『君の名は。』。興行成績が示す通り、国内外で高い評価を受けており、2018年の正月に地上波で…

<文豪>筒井康隆の原点は全て初期作品にある━━「日本SF傑作選1 筒井康隆」(筒井康隆、ハヤカワ文庫JA)

書籍情報 作者:筒井康隆 編者:日下三蔵 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫JA) 形態:短篇小説集 日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル (ハヤカワ文庫JA) 作者: 筒井康隆,日下三蔵 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/08/08 メディア: 文庫本 こ…

SF的手法を用いて描き出される「生」━━『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ/土屋政雄、ハヤカワepi文庫)

書誌情報 作者:カズオ・イシグロ 訳者:土屋政雄 出版社:早川書房(ハヤカワepi文庫) 形態:長篇小説 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 文庫本 購入: 32人…