SF游歩道

語ろう、感電するほどのSFを!

プロフィール

自己紹介

下村思游(しもむら しゆう)

東北大学SF研究会前会長。東北大学理学部物理学科在籍。

SFファン歴はたぶん10年以上。最初に読んだSFは星新一のショート・ショート集「ボッコちゃん」。

最近初めてSF小説を書いた。夏あたりに東北大SF研の機関誌に載せる予定。

950冊を超える蔵書とともに日々の生活を過ごしている。

専門は日本SF御三家(特に最初期筒井康隆)、サンリオSF文庫

このブログでは、書評やSFの本(主に文庫本)の話を中心に少しずつ書き足していく予定。あまりこう文句を言う人もいないと思うが、各記事では思いっきり内容に言及してるので、未読の作品に関しては気を付けてほしい。

連絡先は本ページ一番下に記載しています。

好きな作家

星新一筒井康隆小松左京伊藤計劃円城塔、草野原々

レイ・ブラッドベリフィリップ・K・ディックフレドリック・ブラウンテッド・チャン、ケン・リュウ

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SFが読みたいという初心者に薦めるための作品リスト

前回紹介した「SFが読みたいという初心者に薦めるための星新一作品3ステップ」を適切に行えば、かなりの確率でSFに対して興味をもってもらえることだろう。

しかし、せっかく興味をもってもらえても、次に薦めるSFが円城塔や酉島伝法であったら、これまたげっそりさせてしまうことだろう。

そこで、「星新一作品3ステップ」の次に薦めるSFを私の実体験に基づきリストアップしたので、ぜひ参考にしていただけるとありがたい。

あくまでこのリストは「SF初心者にSFファンが作品を薦めるための参考作リスト」なので、自分自身が初心者だという場合は別の記事(おすすめの傑作SF小説20選 )をどうぞ。

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SFが読みたいという初心者に薦めるための星新一作品3ステップ

SFが読みたいという初心者に、適切に作品を紹介するのは中々難しい。

そこで本が嫌いな人でも読める星新一の作品を使って、適切に各種SF作品への道筋をつける方法を考案したので、ぜひ参考にしていただきたい。

今回紹介する方法は、タイトルにもあった通り、星新一作品6作を3ステップに分けて読んでもらうことを通じて、抵抗なくSFの本質的な面白さ(センス・オブ・ワンダー)に触れてもらうことを目的とした方法だ。

私は今年の東北大SF・推理研を見学しにやってきた人のうち、ほぼ全員にこれをしかけ、例年の約2倍の人たちに入部してもらった。(半ばテロ的ではあったが、元々このサークルに多少なりとも興味があってやってきた人たちであるし、結果的に効果を実証出来たので問題ないということにしておく)

この手法はSF界のみならず、読書界全体にとって有益だと思うので、この場でやり方を紹介することを通じてより多くの人たちに知っていただきたいと考えている。

各ステップで紹介している作品は厳格に読んでもらう順番があるわけではないのだが、一応左から順に読んでもらうと効果的だと思う。

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中国SF研究Ⅰ「『科幻世界』巻末の翻訳SFに関する調査」

中国の有名SF月刊誌「科幻世界」の巻末には、同社の販売するSF単行本の通販カタログが2頁分掲載されている。

国内(中国)SFを先頭に、日本、アメリカ、カナダなどの国外翻訳SFが一覧形式で掲載されているため、この頁に登場する作家・作品を確認すれば中国国内で人気のある作品や、「科幻世界」が強く売り込みたいと考えている作家・作品を知ることが出来る。

今回は「科幻世界」2017年9月号の巻末カタログを題材に、掲載されていた作家・作品・価格を出来る限り翻訳・紹介する。(1元=約16円)なお、このリストは基本的に長編作品のみで構成されるため、短篇集などは傑作選を除いてほとんど登場しない。

あくまで今回取り上げる作品・作家は雑誌の限られた紙面で紹介されているものであり、ここにある作品・作家が中国における翻訳SFのすべてではないことに注意してほしい。

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神保町SF古書店紹介

世界最大の古本屋街、神田神保町。本好きにとっての憧れではあるものの、すこし寄り付き難い街。

SFに興味はあるけど神保町の古書店に行くには抵抗感がある、そんなひとでも安心して古書店巡りを楽しめるように、神保町でSFを取り扱う主な古書店を紹介する。(若干自分自身の備忘録代わりという面もある)

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夏におすすめな名作SF小説15選

まだ7月だというのに、厳しい暑さが続く毎日。

そんな暑さを忘れて没頭できるような、夏におすすめのSFを紹介する。

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2018年上半期の読書整理記

今週のお題「2018年上半期」

今年も早半年が過ぎてしまった。そこでこの上半期で読んだ本を整理し、下半期へと繋げていこうと思う。

上半期のベスト10

1.『万物理論』(グレッグ・イーガン山岸真、創元SF文庫)

上半期でダントツ。これぞSFといった感じで、長篇数本分のアイデアが贅沢に投入されていることもあって、もうこの作品だけあればいいんじゃないかと思ってしまうぐらいの大傑作。色々としっかり理解するのに丸一月かかったが、その分隅々まで楽しんだ。 

万物理論 (創元SF文庫)

万物理論 (創元SF文庫)

 
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難解で知られる芥川賞受賞作家の、割と分かりやすい作品集━━「バナナ剝きには最適の日々」(円城塔、ハヤカワ文庫JA)

書籍情報

作者:円城塔

出版社:早川書房ハヤカワ文庫JA

形態:短篇小説集

収録作品

『パラダイス行』

『バナナ剝きには最適の日々』

『祖母の記憶』

『AUTOMATICA』

『equal』

『捧ぐ緑』

『Jail Over』

『墓石に、と彼女は言う』

『エデン逆行』

コルタサル・パス』

感想と(若干の)解説

「難解で知られる芥川賞作家の、比較的わかりやすい短篇集」とある通り、理解しやすい作品も収録されている短篇集。伊藤計劃は読んだけど、円城塔はまだ読んでいないという方はこの本から円城塔作品へと踏み出すのがおすすめ。これ以外では、「これはペンです」(新潮文庫)と『Self-Reference ENGINE』(ハヤカワ文庫JA)が初心者向け(?)だと思う。

私が東北大SF研に入った理由のうち、円城塔が東北大SF研出身だったということがかなりの割合を占めており、円城塔作品には非常に強い思い入れがある。こんなにも面白い作家が世間であまり読まれていないのは勿体ないことこの上ないので、その面白さを少しでも多くの人に知ってもらうことを目的に今回この記事を作成した。

この記事ではなるべく分かりやすい解説になるようこころがけたので、一度読んでみてよく分からなかったという人にも安心していただきたい。(まあそもそも「分からなかった」というのは円城塔にとっては誉め言葉のようなものなのだが)

以下、収録順に感想を述べる。

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